Vuforia Area TargetとMatterportカメラを使ってフロアガイドを作成してみました。
Vuforia Area Targetは米PTC社が提供するVuforia Engineの一機能で、空間領域にAR機能を提供します。今回のブログではMatterport 3Dスキャンカメラを使ってArea Target用の空間データを撮影し、ARフロアガイドを作成してみます。
Area Targetを使ったARの作成
Area Targetの作成とAR体験は、スキャン、オーサリング、ビューのプロセスに要約できます。
スキャン
Area Targetは、物理的な空間の3Dスキャンされたデジタルモデルから作成されます。3Dスキャンには、LiDAR内蔵のiPhone/iPadまたは、Matterport Pro2カメラのような専用のカメラを用います。スキャンした3Dモデルは、Vuforia Area Target Generatorに読み込ませて、Area Target用のデータを作成します。
オーサリング
Vuforia Area Target Generatorで作成したデータはUnityに取り込める形式(Unity Assets)になっていますので、Unity内でVuforia Engineをセットアップしてデータを取り込めば、Unity内でオーサリングできるようになります。
ビュー
UnityからiOSやAndroid用のアプリをデプロイすると、ユーザーはエリア内のどこからでもARを開始することができます。ユーザーが空間内を移動してもトラッキングは維持されます。
Matterportカメラを使う
Matterport Pro2カメラは、米国Matterport社が販売する、VR空間撮影用カメラです。

Matterport Pro2カメラ
Matterportカメラでの撮影
iPad/iPhoneとMatterport Pro2をWiFiで接続してアプリから撮影します。アプリから撮影ボタンを押すと、60度ずつ回転しながら全方位の画像を自動で撮影します。約2mおきに場所を変えながら撮影を繰り返すと、フロア全体のような大きなエリアもカバーすることができます。
Matterportの撮影
Matterportサブスクリプションについて
Matterportを使用するためには月69ドルのサブスクリプションが必要です。サブスクリプションが切れると自分のスキャンしたデータをブラウザで見ることもできなくなります。また、サーバー側で生成された3Dモデルをダウンロードするためには、1スキャンデータ当たり49ドルのMatterPakと呼ばれる費用が必要となります。
Vuforia Area TargetでMatterportデータを使用する
Vuforia Area TargetでMatterportデータを使用する際は、サーバー上の3Dモデルデータを直接ダウンロードして使用するためのDeveloper Toolsが必要となります。Developer Toolsは150ドルの年間ライセンスとなっています。Developer Toolsを購入するにはMatterport社に連絡して開発者としてアクティベートしてもらう必要があります。アクティベートが終了すると次のように購入可能な画面になります。

Developer Toolsの購入
Developer Toolsを購入すると、アクセス用のトークンや公開鍵が発行され、API経由でMatterportの3Dモデルデータにアクセスできるようになり、Vuforia Area Target Generatorにトークンなどの設定をすれば、Matterportのデータが利用できるようになります。
Vuforia Area Target GeneratorでMatterPakを適用したスキャンデータを指定してArea Target用のデータを生成します。

生成されたArea Target用データには次のようなデータが含まれます。
- メタデータ(xml)
- 点群データ(dat, 3dt)
- GLTFの3Dデータ
- Unity用データ (unitypackage)
Area Targetの実例
弊社の来客スペースをMatterportでスキャンしてArea TargetでARフロアガイドを試作しました。

Matterportで撮影した箇所は40ヶ所。iPadのMatterportアプリで確認するとこのようになります。

Matterportの撮影箇所
生成されたGLTF(3Dデータ)を表示するとこのようになっています。ガラスの透明な部分や暗い部分は取り込めません。

MatterPakのGLTFデータ
Unityに取り込んで、商談室の名称とトイレの案内を設置しました。



iPadでの動作の様子は次のようになります。
まとめ
Vuforia Area Targetのご紹介と、Matterport Pro2カメラを用いたスキャンデータを用いたアプリ作成方法をご紹介しました。
弊社ではVuforia Engine AreaTargetをはじめ、Vuforia製品(Vuforia Studio, Vuforia Instruct, Vuforia Expert Capture, Vuforia Chalk)を取り扱っております。ARを活用したソリューションにご興味ございましたら是非ともお問合せください。
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